サモギティア日本庭園
リトアニア共和国に、日本人が建設している庭園があるのをご存じでしょうか。
「サモギティア日本庭園」。
リトアニアの北西部マズーチャイに「歌う石の谷」と呼ばれる原野があり、広さは東京ドーム3個半にも及び、ヨーロッパ最大といわれています。
まだ4分の1しか完成していないこの庭園。
それにもかかわらず、リトアニアの観光名所TOP10に選ばれ、リトアニアの人たちに愛されています。
どんな経緯でヨーロッパに建てられたのか、みていきましょう。
歴史について
この「歌う石の谷」の土地は、リトアニア人の医師シャルーナスさんが所有しています。
シャルーナスさんは日本庭園が好きで、京都の桂離宮のような庭園を造ることが子どもの頃からの夢でした。
リトアニアで、癒しの場所を作りたいという思いが強くなっていったそうです。
造園家について
日本人の渡邉一さんは、父の後を継いで造園業の社長をしていました。
渡邉一さんは造園家でありながら、デザインの提案や設計士のような役割もしており、その活躍は国内だけにとどまらず、海外でも手腕を発揮するようになっていきました。
その頃、渡邉一さんはリトアニアから造園を学びにやってきたシャルーナスさんの知人・ロカスさんを弟子に迎えました。
2年間造園について学んだロカスさんはリトアニアに戻り、そこで自殺者の多さを嘆いた
シャルーナスさんの為に「癒しの庭園」を造ることを考え、渡邉一さんに庭園作りを依頼したのです。
渡邉一さんはこの仕事を引き受け、7人の日本人造園家とリトアニアへ渡り、2007年から工事を開始しました。
しかし、リーマンショックで依頼主であるシャルーナスさんの会社が倒産してしまいます。
庭園工事は、2008年末に中断を余儀なくされました。
一緒にやってきた職人たちも次々と帰国してしまい、ついには最後の愛弟子・ロカスさんが35歳で交通事故でなくなってしまいました。
絶望のどん底に突き落とされた渡邉一さんは、
まだ4分の1しか完成していない庭園を残して帰国の途へ。
希望を失いかけた渡邉一さんでしたが、シャルーナスさんが誰もいなくなった工事現場でずっと働き続けていることを知り、造園家としてこの日本庭園を造り続けることを決意し、
2010年5月に再びリトアニアへ戻ってきたのです。
そして、一番高い場所にロカスさんの記念碑を建てました。
現在、渡邉一さんはバルト海沿岸の街・パランガに住んでいます。
この庭園の一角で盆栽や庭園用の苗木を売って得た資金で、これからも庭造りを続けていくということです。
庭園への観光と見どころ
まだ庭園は未完成ではありますが、観光庭園として部分的に開放されています。
毎年約3万人もの人が訪れています。
庭園には100種類以上の植物があり、人々の目を楽しませてくれます。
白い砂利を海、石を島に見立て、島の緑を苔で表現しています。
庭園で出されている抹茶はとても人気があり、観光客が殺到しています。
アクセス方法など
☆国名:リトアニア共和国
☆住所:ジェマイティヤ地域マズーチャイ
☆開園日・開園時間
月曜~日曜(休日も開園)
9:00~21:00
☆入園料
・小人 3.00ユーロ(7~16歳)
・大人 6.00ユーロ
・高齢者
学生
25人以上 4.50ユーロ
〈家族〉
大人2名 子ども1名 12.50ユーロ
大人2名 子ども2名 13.00ユーロ
大人2名 子ども3名 13.50ユーロ
※幼児と80歳以上は入場無料です。
☆紅茶プレゼンテーション
土曜と日曜
11:00~19:00
〈価格〉2.50ユーロ
☆問い合わせ
info@japangarden.lt
☆公式サイト
http://japangarden.lt/